つらい時は音楽を聴くのが良い。映画は長すぎるし、ページを繰って物語を読み進める体力すら残っていないから、小説だって難しい……
以前公開した記事(「つらい/死にたい/苦しい/消えたい時に聴く曲リスト」)でそんなふうに書いたのだけれど、もちろん映画を観たって良い。視覚と聴覚を総動員して物語に入り込まなければ越せない夜だってある。
あなたは動かなくてもいい。再生ボタンをワンタップすれば、ここではないどこか、いまではないいつか、わたしのものではない誰かの物語がはじまる。
今からご紹介するのはTwitterでフォロワーに紹介してもらったつらい時に観る映画です。適宜記事に追記を行っていく予定なので、「この映画も掲載してほしい」という方がいらっしゃれば、こちらのTweetにリプライ、もしくは弊メディアのTwtterにDMをお願いいたします。今回は、気分が上がる映画/下がる映画で分けてみました。
気分がアガるアッパー系の映画
落ちたものは拾う。下がった気分は上げる。この項で紹介するのは山あり谷ありあり笑いありで、最終的には気分を上げてくれる映画ばかり。火星に取り残された男の話から京都で舞妓とはしゃぐ阿部サダヲまで……陳腐な表現になってしまいますが、元気の出る映画というのはいいものです。
『オデッセイ』(2015)
リドリースコット監督の『オデッセイ』です。主人公がほぼ死確定のボロボロ状態におかれても悲壮感がさほどなく、生存確率が上がることを淡々とこなしていく様子が効きます。そして70sヒットソングでアガります。「観る抗うつ剤」と呼んで重宝しています。
— クリタ (@kurita_dp) June 5, 2020

人類による有人火星探査ミッション<アレス3>が、荒れ狂う嵐によって中止に追い込まれた。ミッションに参加した6人のクルーは撤収を余儀なくされるが、そのひとりであるマーク・ワトニーは暴風に吹き飛ばされ、死亡したと判断される。しかしワトニーは奇跡的に生きていた。独りぼっちで火星に取り残され、地球との交信手段もなく、次にNASAが有人機を送り込んでくるのは4年後。サバイバルに不可欠な食糧も酸素も水も絶対的に足りない。そのあまりにも過酷な現実を直視しながらも、ワトニーは決して生き延びることを諦めなかった。やがてワトニーの生存を知って衝撃を受けたNASAや同僚のクルーは、地球上のすべての人々が固唾をのんで見守るなか、わずかな可能性を信じて前代未聞の救出プランを実行するのだった……。
『オデッセイ』オフィシャルサイトより
百円の恋(2014)・ゴーストバスターズ(1984)・PARKS(2017)
『百円の恋』だらっと見始めて最後には心から主人公を応援してます。画面も終わり方も綺麗すぎず丁度いい。『ゴーストバスターズ』終盤の意味不明な展開と底抜けに明るい盛り上がりに笑えてきます。『PARKS』明るい鬱ファンタジー。あと、映画じゃないけどハシビロコウの動画を観ても元気になります。
— A to ko (@totsuzen_ne) May 31, 2020

32歳の一子(安藤サクラ)は実家にひきこもり、自堕落な日々を送っていた。
『百円の恋』公式サイトより
ある日離婚し、子連れで実家に帰ってきた妹の二三子と同居をはじめるが折り合いが悪くなり、しょうがなく家を出て一人暮らしを始める。夜な夜な買い食いしていた百円ショップで深夜労働にありつくが、そこは底辺の人間たちの巣窟だった。
心に問題を抱えた店員たちとの生活を送る一子は、帰り道にあるボクシングジムで、一人でストイックに練習するボクサー・狩野(新井浩文)を覗き見することが唯一の楽しみとなっていた。
ある夜、そのボクサー・狩野が百円ショップに客としてやってくる。狩野がバナナを忘れていったことをきっかけに2人の距離は縮めていく。なんとなく一緒に住み始め、体を重ねるうちに、一子の中で何かが変わり始める―――。

大学で超常現象の研究を行う三人の科学者が、援助を打ち切られたために幽霊退治の商売に乗り出す。彼らの活躍が次第に広がる中、マンハッタンの高級マンションに住む女性の周りに奇怪な現象が起き始めていた……。
allcinemaより

同公園と吉祥寺の街を舞台に、50年前に作られた曲に込められた恋人たちの記憶が、現代に生きる3人の若者たちの夢につながっていく様子を描く。井の頭公園の脇にあるアパートでひとり暮らしを送る女子大生・純の部屋に、見知らぬ女子高生ハルが突然訪ねてくる。ハルは亡き父親について小説を書くため、父親の元恋人である佐和子という女性を探しているのだという。ハルを手伝うことにした純は、佐和子の孫トキオから彼女が既に亡くなったことを知らされる。数日後、トキオが祖母の遺品の中からオープンリールテープを発見し、再生してみるとハルの父親たちによるラブソングが収録されていた。感動した純たちは、テープが劣化して途中までしか聞くことができないその曲の続きを自分たちで作ろうとするが……。
井の頭公園の映画『PARKS パークス』より
ドラえもん のび太の恐竜2006(2006)
映画ドラえもんシリーズ全般ですが、中でもドラえもん のび太の恐竜2006です。
— アポ (@apo_moonbase) May 30, 2020
気分がどうって訳ではないのですが、余計な思考がはいらないで物語にひたすら集中できるからです。観てる時間はつらさから距離を置けてる気がします。あと、恐竜とボクノート好きです。

ある日、恐竜の卵らしきものを発見したのび太。卵から生まれたのは、白亜紀の恐竜・フタバスズキリュウだった。のび太は恐竜をピー助と名づけ、ママに内緒で育てはじめることに。やがて、のび太は大きく成長したピー助を白亜紀へ戻す決心をするが……。
映画.comより
『69 sixtynine』(2004) 『サマータイムマシン・ブルース』(2005)
つらい時というか、疲れていて鬱っぽい時は何も考えずただ楽しい気分になれる『69 sixtynine』か『サマータイムマシン・ブルース』。どっちも夏のコメディ青春映画。https://t.co/u2b9hGl5IJ
— 絶対に終電を逃さない女 (@YPFiGtH) May 31, 2020

ベトナム反戦運動が高まり、大学紛争に揺れる69年。長崎県佐世保市の高校生ケンは友人のアダマとイワセを誘い、演劇とアートとロックのフェスティバルを開催しようと計画。これはあこがれのレディ・ジェーンの気を惹くのが目的だったが、警察の介入を招く事態になっていく。
映画.comより

とある大学のSF研究会の部室には、前日にクーラーのリモコンが壊れ、猛暑に悩む部員たちがいた。ところが彼らは部屋の隅にタイムマシンがあることを発見、「昨日に戻ってリモコンを取ってこよう」ということになり、乗り込んでみるが……。
Yahoo!映画より
『川の底からこんにちは』(2009)
「川の底からこんにちは」を観ます
— Origami_Original (@TeiO_Sekkai) June 5, 2020
いろんな価値観や選択肢があって、なにをやっても間違いとか不幸とかは人それぞれでいいんだマジ最高じゃんって思うから。駄目っぽい選択をしても俺は幸せになるよ⤴︎みたいな

上京して5年目のOL佐和子は、目標もない自堕落な生活を送っていた。ある日、父親が末期がんのため余命わずかだという知らせが入り、一人娘の佐和子が実家のしじみ工場の跡を継ぐことになる。しかし工場は倒産寸前で、労働者の中年女性たちからはいびられる毎日。追い込まれた佐和子は、生まれて初めて自分の人生を見つめ直すことになる。
映画.comより
『舞妓Haaaan!!!』(2007)
めっちゃくだらないので舞子Haaaan!!!です。
— atarayo (@atarayo_player) May 31, 2020

サラリーマンの鬼塚は“舞妓との野球拳が夢”というほどの舞妓好き。京都への転勤が決まり念願のお茶屋デビューを果たしたものの、野球拳まであと一歩という時に突然乱入してきたプロ野球選手・内藤に邪魔されてしまう。一方、鬼塚に捨てられた恋人の富士子は、舞妓になって彼を見返そうと決意する。
映画.comより
気分が下がるダウナー系映画
傷口に塩を塗るようにして映画を観るなんて? でもガヤガヤっとしたコメディがつらい時だってあるし、びしゃびしゃっと血が飛び散って悲鳴が! なんて映画を観たい時だってあるはず。少しだけ不穏な空気を感じながらも落ち着いて鑑賞できる作品から、鑑賞後に最悪の気持ちになること請け合いのあの作品までフォロワーに教えてもらいました。
エヴォリューション(2015)
こんばんは
— モクヨビン人の踊り (@_mu_72) June 5, 2020
つらかったときに観て落ち着けたのは「エヴォリューション」という映画です 海がきれいな島の話で、しっとりとしてミステリアス、大きな驚かしなどはないのですが染み込むような映画でした 負担なく楽しめました

少年と女性しかいない、人里離れた島に母親と暮らす10歳の二コラ。その島ではすべての少年が奇妙な医療行為の対象となっている。「なにかがおかしい」と異変に気付き始めた二コラは、夜半に出かける母親の後をつける。そこで母親がほかの女性たちと海辺でする「ある行為」を目撃し、秘密を探ろうとしたのが悪夢の始まりだった。
映画『エヴォリューション』公式サイトより
『マーターズ』(2008)『セルビアンフィルム』(2010)
鬱は鬱で相殺するタイプなので、『マーターズ』『セルビアンフィルム』なんかを観ると暗い気持ちが自然と霧散します。憂鬱な時は、コメディやエンタメを観ると明るくなれない自分がみじめで死にたくなるので、絶望と悲劇の限りを尽くした映画の方が個人的には良薬になってくれます。
— 荊冠 (@GothicCrown) May 31, 2020

1970年代のフランス、何者かに拉致監禁され、長期にわたり虐待を受け続けた少女リュシー(ジェシー・パム)は自力で逃げ出し、傷だらけの状態で発見される。養護施設に収容された彼女は心を閉ざしていたが、同年代の少女アンナ(エリカ・スコット)にだけは心を許していた。15年後、リュシー(ミレーヌ・ジャンパノイ)は自分を監禁した相手を発見し、猟銃を手に犯人宅を訪れる。
Yahoo!映画より

ロシュは元ポルノ男優のスター。現役の頃は幾多の女優をイカせ続けたが、今は引退し、美人妻と幼い息子を愛する平凡な家庭人になっていた。そんな彼の元に、昔なじみの女優から呼び出され、俳優の仕事をやらないかと誘われる。その仕事とは、外国市場向けの大掛かりなポルノ映画であり、かなりのギャラがもらえるという。何か怪しそうな感じではあるが、収入に困っていたミロシュは、その話に興味を持った。
映画「セルビアン・フィルム」公式サイトより
高級車のお迎えが来て、ある大豪邸に連れて行かれる。その豪邸から謎の男が登場する。ヴィクミルと名乗る男は、ミロシュを絶賛しながら、こんな話を始める。「私には大金持ちのクライアントがいて、彼らの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画を撮りたい。そのためには貴方の出演が絶対なのだ!」と。具体的な内容の話もなく、ミロスは高額な報酬に釣られ契約書にサインしてしまう。これが、悪夢と狂気な世界への入り口であった。
『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(2000)
1度落ちるとこまで落ちてからの方がスッとリカバリーできるタイプなのでダンサーインザダークを見ると思います
— CROPBLOG (@cropblog) May 31, 2020

アメリカの片田舎。チェコ移民のセルマは息子ジーンと2人暮らし。つつましい暮らしだが、隣人たちの友情に包まれ、生きがいであるミュージカルを楽しむ幸せな日々。しかし彼女には悲しい秘密があった。セルマは遺伝性の病で視力を失いつつあり、手術を受けない限りジーンも同じ運命を辿ることになる。
映画.comより
つらい時のお供にどうぞ
死にたい(≒死にそう)な夜、思いもよらないものにこころと世界が繋ぎとめられる瞬間が訪れる。それはカーテンからわずかに漏れる月の光だったり、コンビニ店員のいい加減な接客だったり、もうずいぶん会っていない人からのLINEだったり、あるいはこのリストの中にある映画の些細な、本当に些細なワンシーンかもしれない。
このつらい時に見る映画リストがほんの微量でもあなたの健やかな生活の一助になればと願うばかりです。ご協力いただいた皆様ありがとうございました。