働けるのが不思議座談会(後編)

<前編はこちら>

「バケツ型」と「ジェンガ型」のやらかし方

 わたし、フリーライターを引退したのが、「締め切り」っていう概念がきつかったからなんです。自分のキャパシティが全然ないせいで、締め切りとかを設定されたらキャパが溢れかえっちゃうんですよね…

 わたしは違うタイプですね。〆切が来ようがタスクが増えようが問題ないんですけど、その代わりがんがん漏れるんです。どんどんやらなきゃいけなかったはずのタスクが抜けていって、その内全体が崩れちゃうんですよね。

 ぼくもTさんのタイプです。Tさん・ぼくのタイプはタスクが積まれていくうちにタスクが抜けて、崩れていく「ジェンガ型」、かえでさんはタスクが一切漏れないかわりにすぐに溢れかえってキャパオーバーを起こしてしまう「ケツ型」なんだと思います。

 バケツじゃないです。わたしのキャパはプッチンプリンの容器ぐらいしかないです

 タスクに抜け漏れが出ない代わりに、やらなければいけないことの一つ一つが気になってしまって、結果キャパがバグってしまって、タスクに押しつぶされてしまうタイプですね。なんとかしてキャパシティを増やす必要があるんだと思います。どうすればいいんですかね?

 わからない。

 

ジェンガを自分で積むか/他人に積ませるか

 でもジェンガ型も大変ですよね。本当にびっくりするくらいタスク漏れますもんね。

 抜いたジェンガを上に積まなきゃいけないのに、いったん冷蔵庫の上にでも置いとこ〜っつって、そのまま放置し続けて、別の社員が「このジェンガ積まなくていいやつ?」って気づく、みたいな。で、そのジェンガ裏返してみたらめちゃめちゃちゃんと自分の名前書いてあるんですよね。あっヤバイ自分が積まなくちゃいけなかったやつだ!!ってなる。

 あるあるすぎますね。ジェンガ型の人の中でも、わたしたちは利き腕一本でなんとかジェンガを一本抜いて、なんとか積んで、それで一息ついて、次のタスク=ジェンガを抜く…みたいな感じじゃないですか。でも、社会にはいろんなジェンガ型の人が居て。

 ほお。

 まず、「千手観音型」。

 

 千手観音っていっぱい手あるじゃないですか。ジェンガがいっぱい抜けて、いっぱい置けるんですよ。要するに、個人の力量が高くてあらゆるタスクを一瞬で処理できちゃうタイプ。

 あ〜〜〜マジで仕事できるひとのタイプですね。

 そうですね。もうひとつのパターンは「アウトソーシング型」。ジェンガを抜くときに、利き腕だけだと一本しか抜けないから、「ちょっと! 一緒にジェンガ抜いて! タスク処理して!」って言って、人を使って自分のタスクを処理できるタイプ。

 なるほど。

 私たちは仕事が極端にできるわけではないから、千手観音型よりアウトソーシング型になるべきなのかもしれませんね。「頼める仕事は頼む」。大事ですね。

 完全に分かりです。

 

説明書よこせよ

 だから最近、自分にタスク振られないように「自分忙しいですよ」みたいな振りしてるもん。

 タスクのかさましだ!

 でも案の定暇なのバレてどんどん難しい仕事入れられるんですよね。

 いいように行きませんね。

 しかも難しい仕事を、説明無しでいきなり投げられるんですよ。

 説明書無しのパターンだ。初級のステージクリアしてないのにいきなり中級のステージ連れていかれるやつ。

 それです。

 ステージ1をクリアしてないのに「いや、おれは行けるけど?」みたいな感じで上司にいきなりステージ3に連れていかれて、で、案の定死ぬんですよね。説明書読ませてほしい。

 すごい分かります。私はいま出版社の編集部に勤めているから、一冊の本なり雑誌のコンテンツなりを一人で作らなきゃいけないんですけど、もう全然仕事の進め方わからないんですよ。辞書があっても、分かんないところが分かんないからその辞書も引けないんですよね。

 すごい分かる…!

 

タスクに割くリソース配分について

 ていうか、タスクの振られ方にも納得いってないんですよね。ロードマップがまるで引かれてない。とりあえず指示出されるだけで、全体像がまるで見えないんですよね。この作業にどれだけ時間とリソースをかけたらいいかもわからない、みたいな。

 分かります。「100m走だよ!本気で走って!」って指示されたから100mを本気で走って息切らしてるところに、別の人が来て「え? 3000m走だよ? ほらまだ走って!」みたいなことって多々ありますよね、社会人。

 もっといけないのが、「100m走だよ」って指示出した人は、本当に100m走だと思ってることですよね。「3000m走だよ」ってあとで指示出してくる人のことは全然眼中にないんです。

 分かりすぎる。

 まあたまに「100m本気で走ってくれたらいいよ」って指示出して、実際には3000m走らせるような人も居るんですけどね。

 悪魔じゃん

 

「泳がせんな!?」

 あと、たまに「泳がせる」人居ません?

 というと?

 部下のわたしが間違ってる作業してるのわかってるのにあえて放置して、あとで「実はこうすればよかったんだよ」みたいな正解を教えてくる上司。

 あー、たまに居ますね。

 あれなんでなんですかね!?泳がせんな!?!? 早く教えてくれた方がわたしにとってもあなたにとってもお客さんにとっても有益でしょう!?ってなる。

 

仕事を続けること=歯医者に行き続けること

 ていうかBさんって12年も働いてらしたんですよね。なんで辞めなかったんですか?

 惰性ですよね。歯医者さんみたいなものです。一回予約取りさえすれば、治療するごとに予約を取らされて、また来るように言われるでしょう? 一回内定取りさえすれば、仕事するごとにまたやらなきゃいけないことが増えて、また行かなきゃいけないのと同じです。急に治療をやめたりしても、どうせまた新しい歯医者に行かなきゃいけないでしょ? そしたらまた色々説明したりしなきゃいけない。環境を変えるのが面倒だから、働けちゃうんですよね。

 なるほど。ニューゲームとロードゲームみたいなものですね。ニューゲームを選択すると、キャラクタ作り直さなきゃいけないし、オープニングムービーも見なきゃいけないし…みたいな。

 まああとはボーナスとかもありますよね。

 あります。あと1ヶ月頑張ればボーナス入るしもうちょい耐えるか、みたいな。

 結局ずるずる引きずって、またキツくなった時には次のボーナスが1ヶ月後に控えてるやつですね。

 わたしの会社はボーナスが[コンプラ]ヶ月分しかないので一瞬で使い果たしました(笑顔)

(笑顔)

 

「責任感のある仕事をしない」という責任感

 ていうか、もうそもそも責任感のある仕事をしたくないです。責任を一切被りたくない。

 「責任感のある仕事をしたくない」って、ともすれば「責任感がない」と思われがちなんですけど、実はすごく「責任感がある」ことだと思うんですよね。

 言葉遊びですか?

 違います。「責任感がある仕事をしたくない」理由って、自分が他の人よりできないことが多くてミスを起こしてしまうからなんです。これって何も考えずに「いけるでしょ」って言って挑戦して失敗する人よりも、はるかにその仕事のことを考えた、責任感の強い選択だと思いませんか?勇気ある撤退です。

 それは…確かに。

 「責任感のある仕事がしたくない」っていうのは、その仕事を自分が行うことで迷惑をかけてしまうからなので、逆にその仕事に対して「責任感がある」ということの裏返しなんです。ね?

 完全にそれです。

 でも責任感とか、働き方の問題って、結構世代によって変わるなって気がしていて。ゆとり世代か、ミレニアル世代か。

 現代はスマホだったり他のサービスが発達したから、色々やりたいことが多いんですけど、私たちより前の世代は、仕事以外にやりたいことがなかったんですかね。

 世代の違いによって職場を分けてほしいんですけどね、ほんとは。おっさんおばさんは別の職場みたいな。

 約束のネバーランドみたいな感じですね。こっち側の世界とあっち側の世界みたいな。

 その辺はわからないですね。でも、私は生きるために仕事をしているのであって、仕事をするために生きてるんじゃないんですよね。

 分かりすぎる。

 自分の楽しいことを仕事として行えるのが理想ですよね。

 

「いい感じにやりましょう」

 でも、自分の楽しいことを仕事にするのってどうすればいいんですかね?

 「弱点をとことん避けて続けられることを探す」ってことじゃないですかね。できないことを無理に行うと疲れますし。もちろんそんな都合の良い職場ばかりではないですが、「本当に自分が無理なこと」を見極めるのは大事だと思います。

 あとは「最悪自分が居なくても仕事は回る」ってことはよく覚えとかないとですね。有給とか取りづらくなりますし。

 最近「有給を取ることに罪悪感を覚える」みたいな漫画がTwitterでバズってましたもんね。有給は社会人の権利ですし。

 ……ふわっとしてしまってますけど、なんかいい感じにやりましょう、ってことですよね?

 それです。

 

結論:なんかいい感じにやる

 

感想戦

色々大変なことばかりですが、大変なことばかりだね、と言い合うことができたこの座談会はびっくりするくらい尊いものだったようにおもいます。なんかいい感じにできるといいな〜。

 

業務内容楽しい、上司優しい、労働時間ホワイト、じゃあなぜつらいのかと考えたとき、「人はパンのみにて生くるものに非ず」に思い当たる。精神のゆとりは大切。部屋に花を飾り、月の綺麗な土曜の夜には散歩に出よう。座談会の間、そんなことを考えていました。今日も満員電車で羊羹になっています。

 

人と喋りたくないし自己管理ができない自分はフリーランスは難しいだろうなあ。だからこそ、うまく会社に溶け込む術を身につけたいですね。うまーくぬるま湯につかりつつ、たまに頑張る温度感でやっていきたいです。今後数十年働くとして、健康を最優先にできる余裕だけは取っておきたいですね。

 

佐々木かえでさん(@_sasaki_kaede_)

働けている人がマジで不思議です。私とは脳の構造が違うんだろうなって今回皆さんの話を聞いたことでより強く思いました。日光もダメ、週5勤務もダメ、締切もダメ、あらゆる精神疾患で気分が乱高下。でも働かずには生きていけないので、人と比べることなく私は私でやっていきます。生きていくぞ……!

 

少年Bさん(@raira21)

わたしはみなさんより社会人歴が長いのですが、すごくわかる~!とおもいました。 みなさんが会社である程度の地位に就ける時代になると、わたしも生きやすくなりそうなので、ゆるゆるとがんばっていただけたらうれしいです。他力本願ですみません。 自分のできる範囲で、できることをやって生きましょう。

 

文: 渡良瀬ニュータウン(@cqhack)

編集:コガ(@ayako_k_cuckoo)

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