メンタルが弱って夕食が作れなくなったときの対処法

メンタルが弱って夕食が作れなくなったときの対処法

普段はできていることが、メンタルが弱るとできなくなる。料理はその最たる例だ。

私はフリーライターであり、主婦でもある。なので、普段はそれなりに料理をしている。決して上手とは言えないが、夫婦ふたりが健康に暮らせる程度の食事は作ることができる。しかし、心が弱ると、とたんにそれができなくなる。

……と言うと、「気持ちが落ち込んで動けない」と思われがちだけど、私の場合は少し違う。たしかに気分の落ち込みもあるけど、それ以上に「頭が混乱する」のだ。

まず、メニューを決めるところからできなくなる。冷蔵庫の中を見て食材を確認しても、何があるのかがわからない。目には映っているのに、脳に届かないのだ。気づけば冷蔵庫の前でフリーズしている。

なんとかメニューを決めて料理を始めても、いつものように作業ができない。頭が混乱して、手順がわからなくなる。「えっ、私どうしちゃたの?」と、できないことに焦り、動悸と呼吸困難に襲われる。

年に数回、そんな状態になる。しかも、一度その状態になると何日か続く。非常に困るので、私なりの対処法を考えてみた。

 

①今ある食材を書き出す

いったん頭を整理するために、冷蔵庫の中にある食材をすべて紙に書き出してみた。食材メモを見ながらだとメニューを考えやすくなるのでおすすめ。メモを見ても何も浮かばないときはクックパッドで検索する。

 

②夫にメニューを決めてもらう

食材を書き出しても、クックパッドを見ても、メニューを決められない。そんなときは、夫に食材メモを渡して「すみませんがどうにも脳みそがおかしいので何を作ったらいいか決めてくれない?」と聞く。

 

③具沢山の味噌汁だけを作る

何品も作るのは無理と最初からあきらめる。作るのはいさぎよく味噌汁だけ。具沢山にすれば案外お腹いっぱいになる。
具はなんでもいいけど、もやし、はるさめ、乾燥わかめあたりは包丁を使わなくても袋から直接ガバっといけるのでおすすめ。調子がいいときに油揚げとキノコをそれぞれ切ってジップロックに入れて冷凍しておくと、包丁を一切使わずに味噌汁が作れる。

 

④すぐに食べられるものを用意しておく

我が家の場合は、冷凍ご飯、納豆、卵、ぬか漬け(夫が漬けている)など。これがあれば、最悪、何も作れなくなっても大丈夫。できる人は常備菜も用意するといいけど、私には無理。すぐ食べられるもののバリエーションとしては、たらこや明太子、鮭フレークなど(うちの夫はインスタント食品を食べないためレトルトカレーなどは使えない)。

 

⑤ラジオを流す

キッチンに立つことすらどうしようもなく億劫なときは、ラジオアプリ・radikoのタイムフリー放送で好きな番組を流して、聴きながら料理を作ることにした。
ちなみに、好きなのは伊集院光さんや爆笑問題の番組。中学生のときから好きだけど、いつもはなかなか聴く時間がとれずにいた。「夕飯作る=ラジオが聴ける」の図式ができてから、キッチンに立つのがそれほど苦じゃなくなった。

 

……と、ここまで対処法を書いておいてなんだけど。

メンタルの調子が悪くて夕食を作れないなら、作らなくてもいいと思う。

家族に作ってもらってもいいし、惣菜を買ってきても、出前でも外食でもいい。「無理してでも作らなければいけない」なんて決まりはないのだ。もちろん「コスト面や健康面を考えたら自分が作らなきゃ!」と思う方は多いだろう。だけど、夕食作りはベターであってマストではない。

私も、限界ギリギリのところまで頑張ってもどうしてもダメなときは、夫にまかせている。夫は料理ができるし、料理をする時間もある。その一点においては、私は主婦の中でも恵まれているほうだと思う。

それなのに、なぜ限界ギリギリまで頑張ってしまうのか?

それは、単純に夕食を作りたいからだ。正確に言うと、夕食を作れる自分でありたい。夕食を作れたことで「やった! 私できたじゃん!」と自分を褒めたい。自分の存在価値を認めたい。つまりは、自己肯定感のために夕食を作っているのだ。

……と言うと、「夕飯が作れない自分のことも肯定しよう!」「夕食を作れなかったとしても、何もできなかったとしても、人間の価値は変わらない」などと言われるだろう。

いや、わかっている。それが真実だということは。私だって、心底そう思えるようになりたい。しかし。そもそも、夕食が作れない自分を肯定できるくらいの自己肯定感があれば料理ができなくなるほど病まないと思うのだ。

私にとって、できない自分を肯定することは、とても難しい。それならもう、自分を肯定するより、ちょっと無理してでも夕飯作っちゃったほうが早くね? そう思ってしまう。

 

対処法を編み出してなんとか夕飯を作る私と、夕飯作りを夫にまかせる私。どちらも等しく価値があり、優劣や正誤はない。だけど好き嫌いはある。私は、「夕食を作る私」のほうが好きだ。だから今日も、ちょっと無理して作らなくてもいい夕食を作る。

好きな自分でいるためだけに。

 

文:吉玉サキ(@saki_yoshidama)

編集:渡良瀬ニュータウン(@cqhack)

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